ホームページを見て来店された遠方の初めてのお客さま、何気なく保管していた喪服を見てみたら「カビ」を見つけ、全国チェーンの〇ま〇にもっていき相談したら、買うほどかかると言われ当店に来てみたとのこと。
喪服と長襦袢をひと通り検品したら、喪服全体のカビ、胴裏の黄変、生地のスレ、長襦袢の黄変がありました。
直す方法、見積金額、納期をご説明しました。お客さまは予想に反し料金がかからないことに一安心した様子。
親に作ってもらったものだから粗末にできないなと考えられているとのこと。
きものを扱っている店でも「お手入れ」を扱うのが当たり前ですが、ほとんどはお受けしたお手入れは外注に出すのがほとんどです。だから、お手入れ料金も割高になる、納期もはっきりしない、お受けする時きちんとした加工方法を説明できない、ということになります。
当店では、お手入れのほとんどを自社の作業場で行っています。自社でできない加工は専門業者に部分的に依頼しています。お受けしたものは、外注に丸投げをせず自ら加工しているから、低料金、納期を守る、きちんと説明できることにつながっているんだと考えています。
何気なく作業場で加工していることが、考えてみると珍しくなってきているんだな~と思っています。
毎日やっている作業が、お客さまのお役に立っている、そう考えると嬉しいかぎりです。
一度解いてから、反物になるようには縫い、作業場で水と洗剤で丁寧にカビを取りながら洗い張りをしました。
カビ・汚れはきれいになりましたが、3か所にスレがありスレ直しをし、新しい胴裏をつけ仕立て替えました。
黒の色もよみがえり、臭いも取れ新しくなりました。黄色っぽく変色した長襦袢は、仕立て上がったまま作業場で漂白、これもよみがえりました。